病気のお話し

逆流性食道炎

胃酸の逆流により不快な症状があることを「胃食道逆流症」(gastro-esophageal reflux disease; GERD)といいますが、内視鏡検査で食道粘膜にびらんや潰瘍が認められるものが「逆流性食道炎」で、症状はあるものの、びらんや潰瘍が確認できないものを「非びらん性胃食道逆流症」とよびます。いずれも食道に胃酸が逆流することで生じる病気でという意味では同じです。

症状としては、胸やけ(前胸部で下から上へと熱くなるような感じ)や呑酸(胃から口の方へ液体が上がってきて酸味や苦みを感じる)などの定型症状の他、狭心症様の胸痛、咽喉頭違和感、慢性咳、嚥下障害などの非定型症状を生じる場合もあります。

原因としては、食道と胃の境界(食道胃接合部)に存在する下部食道括約筋(LES)の機能が低下することにより胃液が食道内に高頻度に逆流することによります。LESの機能が弱まる原因として、暴飲暴食や、高脂肪食の摂取があげられ、胃に過剰な力がかかることによりLESの弛緩が起こると言われています。また、食道裂孔ヘルニアのある方も形態上、逆流が起こりやすくなりますし、肥満や前屈姿勢では胃が圧迫されるため逆流の原因になります。

治療は、大食、高脂肪食を避けることや、肥満の改善、コルセット、前屈位など腹圧が上昇することを避けるなどの生活習慣の改善が第一です。薬物療法として、胃酸分泌を抑制するプロトンポンプ阻害薬(PPI)やヒスタミンH2受容体拮抗薬が主に用いられますが、効果の無いときは、酸中和剤や消化管運動促進剤、漢方薬が用いられることがあります。

ヘリコバクターピロリ菌の除去などにより胃酸分泌能の増加と食生活の欧米化(高脂肪、高蛋白)に伴って増加傾向にあり、日本人の10~15%にみられるとされています。


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